有機化学の実験は、まだまだ人の手でやることが多いです。機械化できればベストですが、すぐに機械化されるものでもないので、今は手を動かすしかありません。そのため、効率的に実験できるようにする器具はみんなが欲しがるはず。
ということで、今回はろ過を効率的にできるようにする器具を紹介します。
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ろ過で便利な吸引アダプター
大量の有機化合物を単離するときによく使われる手法といえば再結晶です。
帰る前に加熱して溶かしておき、翌日来たら結晶がわんさか出ていてテンションが上がるという経験は、研究室にいれば誰しも1度はあるのではないでしょうか。
溶液中にぷかぷか浮いている結晶を乾燥した状態で取ろうとした場合、吸引ろ過をすることになります。そのとき、みなさんはどうやって吸引ろ過していますか?
吸引瓶・吸引鐘
私が聞いた限りでは、これを使ってろ過している研究室が多いです。
「吸引鐘」読めますか?「きゅういんしょう」と読みますよ。お寺にある鐘に形が似ているため、このような名前になりました。
肉厚のガラスでできていて、上に桐山ロートやブフナーロートをセットして使います。吸引鐘は中にマイヤーなどを置き、ろ液を受けます。
ろ液を回収する場合は吸引鐘、ろ液が不要の場合は吸引瓶と使い分けます。(と言われていますが、実際はあまり気にしない人が多いです)
意外と高価で1個1万円くらいします。下の円形状のガラスがスリになっているので、どうしても値段が高くなってしまいます(汗)。さらに保管にスペースが必要なため、個人的にはあまりオススメしないです。
ちなみに吸引鐘は「ろ過鐘」と呼ばれることもあります。また「ベル」、「ペンギン(形が似ているから)」と呼ぶ研究室もあります。
吸引アダプター
私個人としては、ろ過にはこちらを使うほうがオススメです。それが吸引アダプターです。
私が学生時代に所属していた研究室では、配属時からあったため、どこでもあるものかと思いきや、それ以降に所属した研究室では一切使っていませんでした。
それがこちら。
下がスリ(メス)になっていて、ナスフラスコにセットして、吸引ろ過に使います。下の写真のような感じです。15/25スリに対応している吸引アダプターもあります。
吸引アダプターであれば、実験台の引き出しに入れられる大きさですし、値段も約5000円と吸引鐘より安いです。
受け器は、有機化学の研究室であれば必ずもっている(であろう)ナスフラスコなので汎用性も高いです。
唯一の欠点は、あまり知られていないので、取り扱っている業者が少ないことです。私が今いる研究室に来る業者も知らなくて、ガラス細工の業者に頼んで作ってもらいました。もし出入りの業者が取り扱っていなかったら、このサイトを見せて、作ってもらってください。
他にも吸引ろ過用のアダプターとなりうる器具はありますが、私は上で紹介した吸引アダプターが一番使いやすいと感じています。値段、大きさ、汎用性、すべてのバランスが優れています。
吸引アダプターが認知されて、取り扱う業者が増えてくれれば嬉しいです。