研究職の年収だけ見ていて、本当に大丈夫ですか?
Abstract
  • 研究職の年収は、見かけは高い
  • 定年まで研究職を続けられる人は少数

年度はじめは就活の時期なので、今、就活を頑張っている人も多いでしょう。有機化学の研究をしている人の多くは、化学、製薬、農薬などの会社の研究職に就こうと考えていると思います。

就活の面接では志望理由を聞かれます。

あなたはどうして研究職に就きたいと思っていますか?
どうしてその会社を選びましたか?

面接の場では建前上の理由を言う必要がありますが、本音は別という人が多いはず。おそらく給料がいいから、福利厚生が充実しているからという理由もあると思います。

そういった理由もとうぜんあるはずですが、給料や福利厚生などが書かれている求人票の見た目に騙されていませんか?

今回はお金の面から会社を選ぶ方法について紹介します。

Contents

会社の求人票はいいことしか書いていない

会社の求人票にはいいことしか書いていないことをきちんと認識しましょう。

卒論発表や学会での発表のときを思い浮かべてほしいのですが、スライドをつくるとき、基本的にいいデータしか載せていないと思います。悪いデータを載せたとしても全体の数%分しか載せないはず。

悪いところよりも良いところを発表したいのは会社も同じです。会社の求人票も学会発表のスライドと同じで、会社のいい部分しか出しません。

求人票は良く見えるように工夫されている

化学で出てくる”brsm”を知っていますか?

"based on recovered SM"の略で原料回収を除いて収率を求めることです。

例えば、ある反応の後、生成物が30%、原料回収が70%だとします。一般的な書き方だと収率30%と表記しますが、brsmと注釈を入れるだけで収率が100%になります。

これは、原料回収分は反応に関与しなかったものとみなし、30%分の原料が反応して30%収率で生成物が得られた=収率100%とする、という理論です。

求人票も、同じように良く見える工夫がされているのです。

例えば、求人票の年収はあくまでも初年度の年収だということです。

A社とB社で比べたとき、A社のほうが初年度は高くても、年収の伸びはB社の方が高ければ、3年後の年収は逆転してるかもしれません。

もしくは、3年目までの期限付きの手当が含まれているため、求人票の年収が高く表記されていることもありえます。

私が知っているだけでも、こういった求人票が実際にあるので、他にもさまざまな工夫が施されていることでしょう。

研究職を続けられるのか?

2つ目の問題は、研究職で入ったとしても、数年後も研究職を続けていられるか?ということです。

先日、トヨタ社長の豊田章男氏が「終身雇用を守っていくというのは難しい局面に入ってきた」と発言しました。

トヨタのような大きな会社であっても、終身雇用を維持するだけの人件費をかけられないということです。

ましてや研究職は、他の職種に比べて給料が高いので、会社としては優秀な人材以外は研究職として雇いたくはありません。つまり、研究職として採用したけど、一向に成果を出してくれない研究者は退職か異動の対象になってきます。

異動ならばセーフですが、最近は大手企業でも早期退職者の募集がニュースになっています。

早期退職希望者の募集は研究職に限らないですが、今の日本の会社では研究職を生涯続けていくのは、その会社の中で優秀な人でないと難しいでしょう。

私個人の考えですが、研究職を生涯続けるつもりなら、相当勉強して成果を出していくことが必要です。逆に研究職をずっと続けていくつもりがないのならば、早めに次の職種を見定めて、必要なスキルを身に着けていくべきです。

年齢を重ねたあとでは、研究職はつぶしがきかないです。

まとめ

研究職は、他の職種に比べて給料が高く設定されていますが、その分、クリエイティブな成果を求められる仕事でもあります。

自分が研究職に向いているのか、一生続けていけるのか、自分で考えて判断していくことが必要です。

大学で研究をしてきたから、といって研究職に固執することがないように、いろいろな職種を見てみてください。

スポンサーリンク