- 現役大学助教の給料を公開
研究室にいる学生にとって、もっとも身近な研究職が、大学教員でしょう。でも身近な社会人である大学教員のお給料がいくらなのか知っていますか?
大学教員は、世間の平均より給料が高い職業に分類されますが、実際はどのくらいの給料をもらっているのでしょうか?
今回は、大学教員の給料について紹介します。実際に私がもらっている給料も公開します。
Contents
大学教員の給料体系
言うまでもないことですが、大学教員は国公立大学であれば公務員、私立大学であれば会社員という扱いです。国立大学は独立行政法人になりましたので、厳密には公務員ではないです。しかし、ほぼ公務員というのが実態です。
どちらの給料がいいかというと、私立大学の方が国公立大学より給料はいいです。役職にもよりますが、国立大の1.2〜1.5倍くらいです。
給料は一般的な会社員と同じように、毎月給料が振り込まれていて、夏と冬にボーナスが入ります。
意外と知られていませんが、多くの大学では2〜3月に入試業務手当ももらえます。(もちろん入試業務を担当した人だけ)
他にも地域や住宅手当などもあり、一般的な会社員と同じような待遇です。
現役大学助教の給料
大学助教の月給
前置きが長くなりましたが、現役大学助教の給料を見ていきましょう。
まず、私(助教)の給料から公開します。これが2019年3月分の給料明細です。
項目 | 金額(円) |
---|---|
基本給 | 362,700 |
住居手当 | 27,000 |
扶養手当 | 20,000 |
控除額合計 | 93,600 |
支給額(手取り) | 316,100 |
(33歳、勤続2年目)
わかりやすいように10円単位以下は省略してありますが、それ以外はありのままの数字を出しています。
証拠として給料明細の一部を掲載します。
総支給額は基本給、各種手当の合計です。控除額は税金や保険の天引きのことで、差引支給額がいわゆる手取りにあたります。
大学助教の年収
次にボーナスを公開します。こちらは2018年12月のボーナスの支給額の画像です。
あと少しで手取りのボーナスが100万円に届くところです。大手企業と同等の金額をもらえています。ひじょうにありがたい限りです。
これが夏と冬にもらえて、あと入試業務手当も5~10万円もらえます。合計すると2年目の大学助教で年収730万円(額面)くらいです。
これを見て、みなさんはどう思いましたか?
年齢の割には多いと思ったかもしれません。30代前半で年収700万円以上というのは確かに多いですが、働いている時間を考えると、そこまで多くないです。このことは、有機化学の研究室にいる人ならば誰でもわかると思います。
また、もう一つ注意点があって、この金額は全国の助教の中でも、トップクラスらしいです。私が聞いた話では全国1~3位くらいの高給だそうな。
大学助教の平均的な給料
私の例は、一般的な相場から外れているので、平均的な給料がいくらか見ていきましょう。
助教の初年度の年収についてです。
国公立:約550万円
私立(関東):600~650万円
助教として着任した初年度ではこのくらいが平均的な額面年収です。ちなみに私立(関東)と書いてあるのは、私立の場合、地方によって平均的な給料が変わるかもしれないからです。
数字だけ見れば高いと思う人も多いですが、大学を卒業したあと、修士2年間、博士3年間のあとの給料と考えると、必ずしも高いとは言えないのではないでしょうか。あと、労働時間も異常に長いですし。残業150時間は当たり前の業界ですからね。
一昔前ならこの給料でもほかの仕事と比べると良かったのかもしれませんが、今の時代、給料だけ見ると、大学教員はオススメできない仕事です。他の仕事や副業のほうがよっぽど簡単に儲かります。
給料よりも自分のやりたいことを仕事にしたい、科学を追求したいという人でないと続けるのは厳しい仕事でもあります。
あと、社会的なステータスも欲しい人であればオススメですよ。大学教員というと、どこに行っても尊敬してもらえます。
まとめ
大学助教の給料を公開しました。
額面だけ見ると、大学教員の給料はいいですが、現実も含めると、個人的にはブラックな気がします。
本当は他のポジション(教授、准教授、講師、助手)も書いていこうと思ったのですが、助教だけで、それなりの分量を書いてしまったので、他のポジションの給料は別記事で紹介しようと思います。