数々の反応を開発された福山先生ですが、実験器具も開発されたことをご存知だったでしょうか?
その器具をここではご紹介します。
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三方コック
有機化学の実験をしている人であれば、三方コックを知らない人はいないでしょう。(知らない人は実験をしていないのでは?)
ガラス器具の内部を窒素またはアルゴン雰囲気にするときなど、流路を切り替えるガラス器具です。
(アスクルから引用)
この写真の形の三方コックは、世界中で使われているものなので、読者の方は見たことがあると思います。
福山式三方コック
一般的な三方コックに対して、福山先生が開発した三方コックがこちら。
スリ(オス)がコックから離れた位置についています。さらに、スリ(メス)もついています。
さて、この形の三方コックの利点は何でしょうか?わざわざこの形のコックを開発した理由は・・・
それは反応系中へのグリースの混入を防ぐためです。
左の写真は一般的な三方コックを使って、シリンジで溶媒を入れるところ(写真撮影のため、シリンジはついていませんが)。コックの細い部分を針が通過するため、グリースが針先に付着し、溶媒で流れてしまうかもしれません。
一方、福山式三方コックであれば、十分なスペースのおかげで針を自由に動かせます。ナスの口にグリースがついていても、問題ないです。
他にも、針が短くても入れやすい、マイクロシリンジでも正確に入れられるといった利点もあります。
お値段が・・・
このように実験をする人にとって利点が大きい福山式三方コックですが、難点は価格です。スリの数が一般的な三方コックより多いため、価格が高いことは予想できると思います。
私が頼んだ業者では1個あたり11,500円でした。
一般的な三方コックが7,000~8,000円であることを考えると、いくらか高いですね。値段が少し高いので、研究室を運営する立場の教員からすると躊躇するかもしれません。しかし、手を動かして実験する学生やポスドクからすると非常にありがたい器具です。
予算に余裕があるのであれば買ってみる価値はあると思います。割られたときに泣きそうになりますが(´・ω・`)