【実験手技】これで失敗しない!キャピラリーを作るコツ
Abstract
  • キャピラリー作成の方法を解説

有機化学の実験で、キャピラリーは必ず使うものです。主に、反応溶液を吸い上げて、TLCで反応を追跡するために使うはず。

キャピラリーは他のガラス器具と同様に売っていますが、ほとんどの研究室では自作だと思います。

しかし、最初のうちはなかなか上手く作れなくて苦労する人も多いと思います。

今回の記事では、キャピラリーの作り方やコツを解説します。

Contents

キャピラリーはどうして自作?

スタッフをしていると、学生からキャピラリーを買ってほしいと言われることが多々あります。買っている研究室もありますが、個人的には自作すべきものだと思っています。

その最たる理由は、売っているものはキャピラリーの太すぎて、かつ短いからです。

不均一系の反応では太いキャピラリーのほうが使いやすい場合もありますが、均一系では太すぎて使いにくいケースが多いです。さらに、そこまで長くもないので、使っている反応容器によっては、どうやっても届かないということもあります。

また、キャピラリーの作成自体は数分で終わるもので、注意していれば怪我も起きにくい作業です。

ボンベに付いている調圧バルブの使い方の勉強にもなると思っています。(私がいた研究室では、窒素ガスのラインが個人の実験台まで配管されていたので、反応の準備で窒素ボンベも使いませんでした。)

上記の理由から、お金を出して買うほどのものではないと、個人的には考えてます。

キャピラリーの作り方

本題のキャピラリーの作り方に移ります。言葉で説明する分には簡単です。説明には書いてないですが、必要に応じてピンセットを使ってください。

  1. ブンゼンバーナーで青い炎にする。炎の高さは3-5cm程度。
  2. 炎の高さの上から2-3割くらいのところで、ガラス管を回転させながら炙る。
  3. ガラス管の炙っている部分が、5秒程度で柔らかくなり始め、10-20秒で柔らかくなる。仮に片手を離したら、重力でガラス管が折れ曲がるくらい。
  4. 炎から出して、両側に引く。引く速さを速くすれば細いキャピラリーに、ゆっくりにすれば太いキャピラリーになる。
  5. ガラス管を焦げ付かない机において、アンプルカッターなどでキャピラリーを切り出し、次のキャピラリーを作る。利き手の反対側を切ると連続で作りやすい

バーナーによるガラス加工

よくある失敗

①手順3−4で十分に柔らかくなっていないのに、引っ張ろうとする→ガラス管が伸びず、キャピラリーにならない
②手順4で炎の中で引っ張る→キャピラリーが切れる

あとは当たり前ですが、火を使うので、火傷に注意してください。

特に、手順5でキャピラリーを切り出した後、ガラス管の細くなっているところはさっきまで炙っていた箇所なので非常に熱いです。皮膚に触れれば水ぶくれになります。私は1回白衣に落としたことがあって、そうすると白衣のその部分が穴が空いて、穴の周りが焦げました。

話は脱線しますが、私が学生時代に所属していた研究室では、有機溶媒がたくさん置いてあってみんなが実験をしている部屋にバーナーがありました。可燃性の有機溶媒が充満している部屋で火を使うという危険極まりない状態でした。
当時はよくわかっていなかったので、そういうものと思っていましたが、今となっては非常に恐ろしく感じます。もし、みなさんが所属している研究室がそういう状態なら、スタッフにすぐに改善するように言うか、他の研究室に移ってください。

まとめ

キャピラリーの作り方を解説しました。

自作する場合、説明文を何回も読むより実際に作ってみるのが一番です。慣れるとパスツール1本から7-8本のキャピラリーを作れるようになります。

火傷しないように気をつけながら作ってみてください。

コツなど聞きたいことがある方はコメントしてください。

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